1.書籍概要
- 書籍名:経済評論家の父から息子への手紙・お金と人生と幸せについて
- 著者名:山崎元
- 出版社:株式会社Gakken
- 価格 :1,600円+税
- 発行日:2024年2月27日 初版第一刷発行
【書籍帯コメント】
- 山崎元さんが残した最後のメッセージ
- 「お金の心配をせず、自由に気分よく生きていくためにどうしても伝えたいことを書きました」山崎元
- 実際に送った手紙も全文掲載!
- 働き方、投資・運用、モテ、幸せ、自由、時間、サンクコスト、人材価値、転職、価値観、仲間、酒の飲み方
2.読書感想文
①全体所感
この書籍は山崎氏が亡くなる直前にご子息へ宛てた手紙を中心に、これから社会へ出ていく人へ書いた内容である。しかし、どの年代の人が読んでも非常に勉強になるものであった。
経済学者ならではの視点で紐解く経済事情はもちろん、父としての立場から伝えたいこと、社会で生き抜くすべやそのために必要なことを、包み隠さずストレートに書いてくれている。
正直なところ、大学生の頃に出会いたかった書籍である。しかし、現代は人生100年時代と呼ばれているので、たとえ定年退職をした人でも読む価値は間違いなくある。
新NISAが始まって2ヶ月が経つ現在。投資に関する本が書店では人気であるが、投資およびお金との向き合い方が一番まっとうに記載され、かつ、人生において大切なことを明確に記載されており、40代の私が読んでも非常に勉強になった。書店で見かけた際は是非購入を検討してもらいたい。改めて山崎氏のご冥福をお祈りいたします。
②本書から学んだこと(フレーズ)
- お金は、目的ではなく手段に過ぎない
基本的なことであり、とても大切なこと。仮に大金持ちになったとしても、心が満足できるお金の使い方を知らなければ意味がない。
お金をどう使うかで人生は大きく変わる。節約を否定するわけではないが、お金を使わなければ得られない経験がある。自分が望むもの、望む時間を手に入れるための手段がお金である。あって困ることはないが、貯めることを目的としてはいけない。老後に向けての貯蓄もそうである。
- 人生の豊かさを決める主な要素は働き方だ
ライフワークバランス、働き方改革。これらに近い言葉であるが、何となく印象が違った。自分の私生活を充実させるということは確かに同じかもしれないが、経済評論家ならではの切り口からの働き方が書籍内で語られている。
時代は変わった。それを察知して新しい働き方、社会での戦い方が心に響いた。あと10年若くこの書籍に出会えたらなと後悔する気持ちもあったが、人生100年時代と言われる現代にあっては、まだまだ未知の可能性が自分に秘められていると信じたい。
- 経済の世界は、リスクを取ってもいいと思う人が、リスクを取りたくない人から、利益を吸い上げるようにできている
これは経済の世界だけでなく、すべての世界に当てはまると私は思った。仕事でも人間関係でも、誰かがやりたくないことを、リスクを取ってやることで評価や信頼が高まる。それでけではなく、リスクを取って行うことでしか手に入らない経験を得ることができる。
価値のないことをやっても意味はない。やらなければならないことの中で、他人が嫌がるような大変なことをやることで、やらなかった人間から地位や名声を得て、それが自分の利益となるのではなかろうか。
- 失敗しても借金が残らない形で、何度も試すことだ
借金が残ることによって、行動が制限される。お金は必要以上に多くあってもしかたないが、無いと不自由となる。不自由とならない程度にリスクを取ってチャレンジすること。それが今の社会では求められており、それによって利益を稼ぐということなのだろう。
資産運用、株式投資でもそうだろう。私は現物取引しかしない。信用取引は借金と言っても過言ではないという考えがあるからだ。現物取引なら、たとえ失敗しても借金は残らない。ゼロになるだけ(ゼロになるということもあまり起こり得ないが)。アラフォーになった今でもチャレンジは続けていきたいと思う。
- 人生にあっては、コントロールできないことについて悩んでも仕方がない
人間関係、仕事、お金。悩みは尽きない。自分を変えることや努力することで変えることができるものに対しては、それをやり続ければ良い。しかし、どんなに努力しても変わらないものは変わらない。例えば、相手の性格であったり、株価や為替の動きであったり。
受け入れることもひとつである。そして短期的な視点から長期的な視点に変えるだけで悩む必要がなくなることもある。結局は自分の考え方や見方の問題であり、それ以外に関しては無理をしても体力と時間だけを消耗してしまうだろう。どちらも消耗するには高価な資産である。
- 他人と同じであることを恐れよ。無難を疑え。
若いうちにはこうあるべきだと思う。歳を重ねてもそうあるべきだということは「理解」できる。しかし、生きていくうちに守らなければならないものが多く、そして大きくなってくる。どこかで妥協をしてでも現状を守りにいくようになってしまう。
しかし、チャレンジのない人生ほど退屈なものもないだろう。前述の内容通り、借金の残らないチャレンジであれば、家族の理解があれば、できるのかもしれない。
- 自分の時間にも、相手の時間にも、経済価値があることを意識するべきだ
勤めていて心底嫌になるのが、無駄な会議の時間。参加者が事前に準備をしていれば1時間足らずで終わる内容を5時間も使う会議が私の周りには溢れていた(部署異動でそのようなことはなくなったが)。しかも、会議の大半は議題と関係ない話が多い。世間話なら他でやれば良いだろう。
自分の時間はもとより、会議などの場では、参加者全員の時間が奪われている。会社の利益に貢献するなら、端的に、手短に、事前準備をして臨み。空いた時間は他の業務なりにあてた方が良い。また、相手の時間に配慮することは、相手への敬意にもなり、人間関係が良好になっていくだろう。
- 人間関係は重要な資産だ
ビジネスの場面における人間関係は、プライベートの友達関係とは少々違う。仕事がデキる人というのは人間関係を上手に築いていく傾向にあるのは間違いない。むしろ、人間関係が良好だからこそ、仕事がデキるのだと思う。独りで黙々と作業をするビジネスもあるだろうが、「ビジネス=お金を生み出す」と考えると、そこには必ず誰か(お客様)がいるはずだ。
人間関係は意識して作ろうとするものではない。むしろ、自らの人格を磨くことが人間関係に繋がると考えている。人格者であれば人はついてくる。ゴマすりをして仲良くすることが人間関係ではない。
- モテない男は幸せそうに見えない
ドキっとした。思い当たる節がある。それだけであるが、非常に説得力がある。
- 心からの興味を示しながら、相手の話を熱心に聞くことだ
様々な自己啓発本の中にも同様のことが掛かれていた。人格を磨いていくための必須項目だろう。カーネギーの「人を動かす」、コヴィー先生の「7つの習慣」でも書かれていた。ここで大切なことは、心からの興味を示すことだ。そしてこれが難しい。相手が見ている景色を見たいと思える心の広さ、異なる意見や考えを受け入れる心の強さ、自分を押し付けない忍耐強さ、などなど。
改めてわかったのは、実践しなければ、書籍から学んだことは自分の力にならないということ。生きているのであれば、実践をする場はどこにでもある。オフィスでも、通勤途中でも、ご近所付き合いでも。家族や親戚との付き合いでも、友人との会話であっても。書籍で学んだことを実践するチャレンジ精神を持とう。
3.お知らせ
筆者はリタイア60の名前でSNSをはじめとした発信活動を行っています。ご興味がある方は是非ご覧ください。