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東京都中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)総合得点での配点が決定!予想を覆す結果に…

こんにちは!PayPay経済圏の住人、リタイア60です。今回は本業である教育業界に関する記事を投稿します。

 

2021年9月24日に、2022年11月27日実施予定の東京都中学校英語スピーキングテスト(以下、ESAT-J)を活用した評価の点数化と総合得点への加算に関して発表されました。

 

  • 以前より検討されていた2つの案とは異なる3つ目の案でほぼ決定!

 

驚きを隠せませんでした…。今までの検討案はどこへ…。

 

そこで今回は、今までの東京都立高等学校入学者選抜検討委員会の検討から改めて確認し、ESAT-Jの入試での重要度を分かりやすく解説していきます。

 

その前に、ESAT-Jの内容についてまだ詳しく知らない方はこちらリンクにまとめていますのでご覧ください。

リンク:東京都中学英語スピーキングテスト(ESAT-J)のテスト内容詳細

1.2019年時点での方針

 

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図1 英語スピーキングテスト結果の活用について
引用元:令和2年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告について

 

2019年で発表された時点では、ESAT-Jの得点は

 

  • 学力検査の得点(100点)に加えた結果を、140点に換算する方向で検討する

 

とされており、2つの案(A案とB案)が出されていました。

 

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図2 今までと2つの案の換算方法

 

  • A案:ESAT-J20点分を加えた120点を140点へ換算
  • B案:ESAT-Jの得点を含めて100点とし、それを140点へ換算

 

新型コロナウィルス感染拡大の影響で1年間先延ばしにはなったものの、この2つの案のどちらかになるだろうという予測が大半を占めていました。

 

しかし、そのどちらでもない3つ目の案にほぼ確定という発表が、2021年9月24日に東京都教育委員会よりなされました。

 

2.ほぼ確定となった3つ目の案

 

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図3 ほぼ確定となった3つ目の案
引用元:令和3年9月24日東京都中学校英語スピーキングテスト事業について

 

評価方法と総合得点での取り扱い
  • ESAT-Jの評価は「調査書」に記載(学力検査に含めない)
  • ESAT-Jの評価はA~Fまでの6段階で評価し、最高で20点分を加算
  • 不受検者の対応は学力検査の結果から換算する。
  • 総合得点(換算後の得点)は、今までの1000点満点から1020点満点へ変更

 

一番の驚きは、今まで検討されていた「英語の得点に含める」という内容がなくなったこと。そして、ESAT-Jの点数によって6段階の評価に分けるという、やや大雑把な配点になってしまったこと。

 

実際にはもっと細かく点数化されても良いはずですが、5段階評価の内申点に近い扱いとなりました。

 

「調査書」に「評価」が記載されるため、実際にどの評価を得たのかが分からない(調査書を入試前に見ることがほぼ無い為)のが不安。学校や教員によって評価の差が出てしまう可能性もあります。

 

「ESAT-Jの得点が何点以上がA評価」などが明確に示されれば学校や教員による差がなくなるのですが、まだ発表はされていません(2021年9月26日時点)。

 

それでは、今までの流れを整理するために各案を比較してみましょう。

 

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図4 今まで検討されてきた案と今回決定した案の比較

 

換算後の点数からESAT-Jの占める割合を比較すると、

 

  • A案:23/1000点(2.3%)
  • B案:28/1000点(2.8%)
  • 今回:20/1020点(1.96%)

 

このように、ESAT-Jの全体における配分が小さくなりました。

 

これには様々な要因(大学入試の4技能試験が稼働しなかったことなど)が憶測として挙げられます。今回ほぼ確定の案は、今までの案より英語スピーキングに対する東京都教育委員会の力の入れようが弱くなったと判断し、少し残念な気持ちになる方がいるかもしれません。

 

しかし、このような大きな方針転換も、落ち着いて「入試全体」を考えると納得できる部分があるのです。それについて次の章で記載していきます。

 

★2021年10月2日追記★

学習指導の現場から以下のような声も聞こえてきました。

 

  • 英語スピーキングが苦手な生徒はESAT-Jを辞退した方が有利ではないか?

 

今回設定されている不受検者への対応は、「不利にならないようにする為」の措置です。例えば、インフルエンザになった、新型コロナで陽性反応になったなど。試験当日および予備日の2回とも受験できないという場合に対してとなります。

 

同日に発表している報告書でも以下のように明記されています。

 

都内公立中学校3年生 「全員受験」

引用元:令和4年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書 22ページ

 

また、今回の発表内容については、まだ最終確定ではなく、今後検討の余地をのこした段階ということを見逃してはいけません(9月26日時点)。

 

ESAT-Jについては、保護者、受検者、中学校側、高校側に趣旨等をしっかりと説明し、理解を得る努力を続けるとともに、得点化の方法等入学者選抜への具体的反映方法について本検討委員会の検討内容を踏まえながら更に検討する他、不受検者への対応の詳細についても、検討を進めていく。

引用元:令和4年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書 23ページ

 

ここから分かる通り、受検者が不受検者よりも不利になるということが発生しないように、今後も細かな内容(6段階の評価方法など)が検討されることになります。情報を早く察知することだけでなく、その情報に振り回されないようにしましょう。

 

3.今回案に至った理由の考察

先程の図2に明記していますが、今まで検討されてきた案における学力検査の換算後の得点は、

 

  • 現在:140点
  • A案:117点
  • B案:112点

 

学力検査は「同日」に英語だけでなく、「同じ時間配分」で国語、数学、理科、社会も実施されます。

そして、どの科目も学力検査の換算後の得点は今までは同じ。

 

  • 入試当日の学力検査における公平性を保つ

 

この観点で考えると、A案・B案共に、英語の学力検査の比重が他の科目より小さくなってしまいますつまり、学力検査の数学5点分と英語5点分に違いが出てくるという、「科目間での不公平」が生じることになります。

※今までも、「学校によって」は特色に合わせて、特定科目の比重を大きくする学校はあります。

 

そして、もう1つ考えられる理由として、

 

  • 高校側の合否決定における複雑化の回避

 

があると考えられます。

 

総合得点1000点満点が変わらず、科目間での比重の差が全科目に生じてしまうA案またはB案になった場合、「今までの各高校で使っていた合否の基準が使えなくなる」可能性があります(また各高校で作り直しに…)。

 

仮に、新しい合否の基準が作成されたとしても、実施初年度は非常に不安定な状態になります。もし合否判断でミスが発生した場合は、メディアに英語スピーキングテストの導入自体を叩かれてしまう恐れがあり、英語教育に対する後退感が加速します。

 

これに対して今回の新しい案では、

 

  1. 今までの総合得点1000点で一度合否を仮決定
  2. ESAT-Jの20点分で合否調整をする

 

という対応が可能になります。要は、今までの合否の基準がそのまま利用でき、合否決定に手間が1つ増えるだけ。合否判断でのミスがA案・B案より確実に減ることが予想できます。

 

以上のことから、私なりの考察結果をまとめると以下になります。

 

東京都が目指したもの(筆者独自の予想)
  • 入試での公平性を保つことで生徒・保護者の不満や不安を解消し、ESAT-Jの実施をミスなく成功させ、英語4技能学習の加速、グローバル化に対応する人材を育成することを目指す

 

4.ESAT-Jの学力検査・調査書内申点との比較

それでは、最も気になるESAT-Jの入試での重要度についてみていきましょう。

 

学力検査:調査書=7:3の場合で計算。0点のF評価以外の「ESAT-J評価E以上」について確認していきましょう。

 

①ESAT-JのA評価(総合得点20点)

  • 学力検査15点×700÷500=総合得点の21点分
  • 調査書内申点の5×300÷65=総合得点の23点分=主要5科で5or実技4科で3

②ESAT-JのB評価(総合得点16点)

  • 学力検査12点×700÷500=総合得点の16.8点分
  • 調査書内申点の4×300÷65=総合得点の18.5点分=主要5科で4or実技4科で2

③ESAT-JのC評価(総合得点12点)

  • 学力検査9点×700÷500=総合得点の12.6点分
  • 調査書内申点の3×300÷65=総合得点の13.8点分=主要5科で3or実技4科で2

④ESAT-JのD評価(総合得点8点)

  • 学力検査6点×700÷500=総合得点の8.4点分
  • 調査書内申点の2×300÷65=総合得点の9.2点分=主要5科で2or実技4科で1

⑤ESAT-JのE評価(総合得点4点)

  • 学力検査3点×700÷500=総合得点の4.2点分
  • 調査書内申点の1×300÷65=総合得点の4.6点分=主要5科で1

 

ESAT-J評価点のE評価以上では学力検査・調査書内申点それぞれで上記の点数に相当します。と同時に、

 

  • それだけの差がついてしまう、差をつけることができる

 

ということでもあります。

例えば、魅力的に感じる調査書内申点の部分について考えていきます。

 

具体例
  • B評価を獲得した生徒と、E評価を獲得した生徒の総合得点の差は12点分=調査書内申点では換算前の「3」程度の差が生じる。

 

主要5科目で換算前内申点を約3上げることは容易なことではありません。なぜなら、内申点向上の為には、定期テストの点数だけでなく、日頃の授業態度や提出物、そして何より担当教員との相性などが影響してきます。

 

実技4科目も同様に、どうしても得意不得意で差が発生。努力だけでは埋められない差というものがあります。

 

その為、ESAT-Jは「内申点が足りない場合の挽回策」となりうるテストなのです。

 

ただ残念なことに、学力検査の得点差でみると、換算前の9点分の差。約2問程度の差ということになり、少し見劣りをしてしまいます。

 

記事の前半で総合得点全体に占める割合が当初予定より減ったという話をしましたが、それでもこれだけの差が生じる為、ある程度の対策をしないわけにはいきません。

 

5.まとめと対策

ここまで英語スピーキングテストESAT-Jの配点やその割合を見てきましたが、本来の目的は、

 

  • グローバル化に対応できる人材を育成すること

 

これにあります。万全の対策をして高校入試に臨むことは大切なことですが、本来の目的を見失ってはいけません。入試対策を通して、

 

  • 英語を使うことに慣れる、英語を当たり前のように使えるようになる

 

このような本質を見失わないことが大切。

 

学生時代に英語を話すことに苦手意識を持ってしまうと、これから先の未来では、今まで以上に選択できる職業の幅が狭まってしまいます。目の前の目標だけではなく、さらに先に広がる未来を見据えた英語スピーキングテスト対策をするようにしましょう。

 

それでは最後に対策法について記載します。

 

英語スピーキングテスト対策法
  1. 語彙力をアップしよう
  2. 基本例文を数多く覚えよう
  3. 覚えた単語や例文を日頃から発音しよう(★)
  4. 入試そっくりの英語スピーキングテストで練習しよう(本番の録音方法に慣れる為と、制限時間内に英語が出てくるようにする為)(★)

 

上記の1、2は英語学習のそもそもの基本。3、4が今まであまり行われていなかった新しい学習であり、言語である英語学習には欠かせない要素です。

 

来年の2022年11月27日にESAT-Jは本番を迎えます。残された時間も限られています。1日でも早く対策を始めるよう、新しい英語の学習法を実践するようにしてください。