1.書籍紹介
書籍概要
- 書籍名:臆病な経営者こそ「最強」である。
- 著者名:荒川詔四(㈱ブリヂストン元CEO)
- 出版社:ダイヤモンド社
- 価格 :1,600円+税
- 発行日:2024年9月17日 第1刷発行
著者略歴
株式会社ブリヂストン元CEO。1944年山形県生まれ。東京外国語大学外国語学部インドシナ語学科卒業後、ブリヂストンタイヤ(のちにブリヂストン)入社。タイ、中近東、中国、ヨーロッパなどでキャリアを積むほか、アメリカの国民的企業だったファイアストン買収(当時、日本企業最大の海外企業買収)時には、社長参謀として実務を取り仕切るなど、海外事業に多大な貢献をする。
タイ現地法人CEOとしては、同国内トップシェアを確立するとともに東南アジアにおける一大拠点に仕立て上げたほか、ヨーロッパ現地法人CEOとしては、就任時に非常に厳しい経営状況にあった欧州事業の立て直しを成功させる。
その後、本社副社長などを経て、同社がフランスのミシュランを抜いて世界トップシェア企業の地位を奪還した翌年、2006年に本社CEOに就任。「名実ともに世界ナンバーワン企業としての基盤を築く」を旗印に、世界約14万人の従業員を率いる。
2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災などの危機をくぐりぬけながら、創業以来最大規模の組織改革を敢行したほか、独自のグローバル・マネジメント・システムも導入。また、世界中の工場の統廃合・新設を急ピッチで進めるとともに、基礎研究に多大な投資をすることで長期的な企業戦略も明確化するなど、一部メディアから「超強気の経営」と称されるアグレッシブな経営を展開。その結果、ROA6%という当初目標を達成する。
書籍帯・表紙コメント
- 残酷な世界を生き抜く18の経営哲学
- 14万人を率いたリーダーが「真に恐れたこと」は何だったのか?
- 「おびえた動物」のように、感覚を研ぎ澄ませ!
- 「臆病」でなければ、生き残ることはできない。
どのような人におすすめ?
経営者および経営を志す人の必読書なのは間違いありませんが、ビジネスおよび組織に携わる人全員が読むべき、超良書です。学びがとてつもなく多いのは間違いありません。私自身、のめり込んで一気に読了してしまったくらい、文章そのものも読みやすく、年齢や社会人経験問わず読んで学べる内容です。
「ここ、いいな」と思ったところに付箋を貼っていく読書スタイルなのですが、読了した後に数えたところ、付箋の数は20を超えていました。ページ数は異なりますが、「人を動かす」「7つの習慣」のを読了したときに匹敵するほどの付箋の量(というか勢い)でした。
著者の荒川氏は、若いころに海外でとてつもない苦労をし、それを乗り越え、糧にしてCEOまで上り詰めた、まさに「叩き上げ」のビジネスパーソン。だからこ、我々現役世代のことはよくわかっていると思われる、経験に基づいた的確なアドバイス(経営指南)が多数。私自身は経営者ではありませんが、ここで学んだフレーズを社内勉強会で使わせていただきました。それくらい、ビジネスパーソンには響く内容です。絶対に読んでもらいたい1冊ですね。
2.読書感想文
目的
この書籍を通して、私自身が学ぶことができたことを「5つの学びフレーズ」としてお伝えします。というか、今回に限っては、5つに絞り込むのが本当に大変でした。この記事を通してもっとお伝えしたいところではありますが、この書籍はぜひ購入してもらいたいという意図のもと、読了することで、どのような姿に自分が成長できるかをイメージしてもらい、この書籍を手に取ってもらえたら幸いです。
5つの学びフレーズ
組織は「人事」で決まります。
昔、お世話になった専務も同じこと言ってたな~と思い出しました。誰を昇格・降格させるかは、かなり見られていると。ここに不公平はもちろんのこと、派閥や好き嫌いがあってはいけないのです。とはいえ、評価する側も人間。完璧な能力主義だけでは組織が成り立たないという言い分ももちろん理解できる。だから本当に難しいんだろうな~と思う今日この頃。
ただ、最近わかってきたのは、コネやゴマすりで昇格した人って、必ず後で辛い思いをするんですよね。だって、その人の能力に合わない役職に就いてしまうわけなので、周りから「あの人はなんであの役職なんだ?」と疑問を持たれます。「ああ、あの人はコネで上がったのね」なんて思われたら、そもそもの業務が回らなくなってしまうことも。他者からどう見られるか、これを想像せずに、収入面や地位や名誉だけを求めて必死にゴマすりする人をリアルで見かけますが、本当にダメですね、アレ。
人間を動かすのは、最後の最後は「感情」です。
組織は人。これはよく言われることですし、ビジネスパーソンのほとんどが理解していることですよね。私は常に「人財」と表現しています。「人材」ではないのです。組織にとっての財産ということ。「材」ではないので、感情があるのが当たり前。ビジネスパーソンのほとんどは「(精神的にも)大人」なので、本当の感情を表に出すことはあまりありません。なので、実際にどう思われているか、本当のところはわからないのです。
それでも、感情に訴えかける場面は、ビジネスシーンでは非常に多くありますよね。例えば、営業職なら言われたことありませんか?「君から買いたいんだよ」。これ、ものすごく嬉しいんですよ、本当に。営業冥利に尽きる。これはお客様の感情に訴えかけることができた結果得られるご褒美の言葉。そこには「誠意」があるんですよね。「その人のためにできる全力を尽くす」ことで、お客様は心を揺さぶられるわけで。
もちろん組織運営でも同じ。同じことを言われたとしても、「誰に言われたか」で受け取り方が変わることってありませんか?私ももちろんあります。正しいか正しくないか、納得できるかできないか。正論を振りかざしても人は動かないのです。これは間違いない!
大切なのは、心の底から楽しむことです。
これは、「没頭できる『趣味』を持つこと」の大切を語っている箇所に出てくるフレーズ。仕事から離れてリフレッシュするには趣味が必要ですが、趣味では他人と比較したり、見栄を張ったりする必要はないのです。自分が好きなことを、好きなように、自分のペースで楽しむこと。もちろん、大切だからと言って、無理に趣味を作らなくてもいいと思います。
趣味がないのも趣味のうち!これから新しい発見しかない状態。平日でも休日でも、我々に平等に与えられる1日24時間という制約。これをどのように使っても良いのです。自由の世界。読書するもよし、外出するもよし、ギャンブルをするのもよし。ただし、趣味であっても「自分で決断」することは大切です。「今日は徹底して昼寝するぞ!」という一日があってもいい。「何も考えず、ボーっとするぞ!」と決めてダラダラ過ごしても良い。自分の決断で日々を過ごすことで、きっと趣味も無趣味も楽しめるのではないでしょうか。
自分がやっている仕事に誇りをもち、自分が所属する職場に愛着をもつ人々が、生き生きと楽しそうに力を合わせて働いている職場は、必ず高い業績を上げてくれます
このような集合体(要はプロジェクトなんですが)に属したことがありますが、本当にそう思います。マネジメントの立場に立つ人なら、「演じてでも」楽しそうに働かなければなりません。だって、平社員より見られる立場にあるのですから、その影響力は大きい。
高い業績を上げるとき、なんとも言えない、うねりというか、そんな空気管があるのです。これが言葉で説明できないんですけど、そこにいると、疲れも忘れるくらいの高揚感が得られ、次から次へと案件が進んでいく、あの魔法のような時間。漠然とですが「歯車がかみ合う」という感じで、一気にギアが上がるんですよ。怖いくらいに。ちょっと違うかもしれませんが、最近の言葉で言うと「ゾーン」というヤツですかね。個人ではなく、組織体としてのゾーン。きっと周囲に恵まれたんだろうな。
人間の集合体である組織において、嫌われたり、信頼されなかったら、どんなに優れた提案であっても、それを実現させることはできません。
先ほどの「人間を動かすのは、最後の最後は「感情」です。」というフレーズのステップ②みたいな感じ。たとえ正論であっても、嫌いな相手の言うことを受け入れることはなかなかありませんよね。かといって、無理にこびへつらうのも、なんか嫌なんですよ。どうしたものかな~、と日々悩むところ。
ただね、相手の気持ちの中身なんてコントロールすることは不可能。なので、相手の気持ちをどうこうしようと悩んではいけないと思うのです。じゃあ、自分勝手に振舞ってもいいのか?それは違うかな。周囲のことを考えて、「きっとこう『だろうな』」くらいの軽い感じで、相手の視点に立つことができるだけで、だいぶ変わるのかな。
そして、多くの人と触れ合い、良くも悪くも「人の振り見て我が振り直せ」ですよ。言葉で言いうのは簡単ですが、人の振り見た後に「自分を客観視できるか」がポイントかな。我が振り直せを実現するには、我が振りを理解しなければならないわけで。自分を知る、自分を外側から眺めてみる。こういうことに休日の時間を当ててのんびり振り返るのも、アリです!
3.お知らせ
筆者はリタイア60の名前でSNSをはじめとした発信活動を行っています。ご興味がある方は是非ご覧ください。