今回のテーマは個別指導塾の仕組みについて記載します。
大学生時代もアルバイトをしていました。
現在も経営者の方とお話する機会も多くいただいております。
さて、以前から不思議なのが、
個別指導はその子に合わせたカリキュラム
個別指導では、これが一番の売りだと思われます。
よーく考えてみるといろいろと矛盾に気づいてきます。
それではいってみましょう!
カリキュラムは1年分作成されていない
たとえば3月に入塾をしたとしましょう。
「その子に合わせたカリキュラム」はどの程度の期間分が作成されていますか?
経験されたことがある方はご存知だと思いますが、この時点ではどんなに長くても「夏期講習前」までです。
どうして1年間分のカリキュラムが作成されないのでしょうか?
集団指導の塾であれば、オーダーメイドではありませんが、年間カリキュラムは決められています。時に遅れたり早まったりすることもありますが、ほぼカリキュラム通り進みます。
個別指導の場合は年間カリキュラムが作成されないケースがほとんどです。
その子に合わせた目標を設定し、目標達成に必要な学習量がわかっていれば当然年間のカリキュラムは立てられるはずです。
ですが、年間カリキュラムは立ててくれません。
個別指導でその子に合わせたオーダーメイドの年間カリキュラムが作成されない理由はいくつかあります。そこに迫っていきましょう。
ビジネス的視点から
個別指導に限らず、学習塾では「講習」での売上がとても大切になります。
その中でも長期休暇となる夏期講習はとても重要です。
仮に、個別指導でオーダーメイドの年間カリキュラムを入塾時点で作成したとしましょう。
「このカリキュラム通り進めれば○○くんの目標は達成できます!」
これを最初に言ってしまった場合、夏期講習での売上のプラスが難しくなります。
※夏期講習まで想定してカリキュラムが組まれていれば問題ありませんが。
殆どの個別指導塾では、夏期講習が近づくと必ず保護者面談があります。
夏期講習のコマ数決めです。
もちろん、この時点で教室長からコマ数の提案があります。
これ、最初はコマ数多めに設定されています。
教室によって異なりますが、ここでの金額で折り合いがつかなければ、コマ数を削ったプランを提示されます。それでもだめなら次のプランへ・・・。
ここで「あれ?」と気づくはずです。
オーダーメイドカリキュラムを1年間分最初に作成しない理由がここにあります。
個別指導塾はいかにコマ数を取ってもらえるかが勝負であり、そこに対してノルマがあります。
このノルマ達成の為に、売上を確保する為に、敢えて1年間分のカリキュラムを先に提示しないのです。
先にカリキュラムを提示してしまうと、その範囲内で成果を出さなければ契約違反に相当してしまいます。
学習塾側のリスクが高くなるからこそやらないのです。
指導力の視点から
個別指導塾の講師の多くは時間講師、つまり、アルバイト講師です。
もちろん正社員として勤務している講師を抱える個別指導塾もありますが、稀です。
多くの場合、アルバイト講師が日々指導をし、社員である教室長に報告をする。
その報告を受けて、社員が生徒・保護者対応をしている、という具合です。
アルバイト講師の力量が不足していれば、指導および報告の質も低下します。
つまり、その子を伸ばすことはできないでしょう。
では、どれだけ優秀なアルバイト講師が日本に存在すると思いますか?
申し訳ないのですが、ほんの一握りです。
そのほんの一握りの優秀なアルバイト講師に出会える確率は?
さて、このような背景を考えると、全てのアルバイト講師が、年間を通したその子に合わせたカリキュラム、つまり、学習計画を立てられると思いますか?
授業の様子をそこまで細かく見ていない教室長が細かく提案できますか?
やや個別指導塾に対して否定的な内容になってしまいましたが、私自身、素晴らしい教室に出会ったこともあります。
実際には非常に優れた個別指導塾の教室もあります。
別記事でも記載させて頂きましたが、優秀な教室長、優秀な時間講師を見抜くのは保護者の役割です。このあたりも塾選びの際に参考にしてください。
こんな個別指導塾なら安心
今まで私はまだ出会ったことがありませんが、以下のような個別指導塾であれば指導面や費用面で非常に安心かと思います。
- 入塾時に必ず学力分析テストを行う
- テスト結果とこれまでの傾向から年間カリキュラムを提示する
- カリキュラムから年間にかかる費用を提示する
- 教室長が全ての生徒の状況を把握できている
なかなか難しいかもしれません。
生徒1人に対して関与する人が多くなればなるほど、報告という面で必ず差が出てきてしまいます。
だからこそ、これからは時代に合わせた形をとる個別指導が良いかもしれません。
学習指導をするのは必ずしも人でなければならないわけではありません。
知識の伝達、反復演習であれば、ICTや映像で問題ないでしょう。
しかし、子供の様子を把握するのは「人」しかできません。
つまり、「人」の良さと「ICT」の良さがしっかりと融合されている教室。
最近増えつつつあります。
しかし、理想的な教室はまだまだ数少ないと思われます。
教育はどこまで時代が進化しても「人」の部分を疎かにできません。
生命線です。
このことを忘れずに、個別指導塾をいろいろと見てもらえると面白いと思います。